ワクチン接種の労働時間の取扱いは?

ワクチン接種の労働時間の取扱いは?

2021/07/13

 65歳未満の現役世代にもワクチン接種が始まりました。
 接種後に熱が出るなどの副反応が多く見られるため、現役世代であれば会社を休まざるを
得なくなります。
 そこで今回は、接種日の労働時間の給与や休暇の取扱いについて解説したいと思います。

 

1.ワクチン接種による副作用の最新データ

 6月23日に発表された厚生労働省の最新コホート調査によると、ワクチン接種の副作用は
以下のように報告されています。

●1回目接種後の発熱(37.5℃以上)は3.3%だが、2回目は38.4%だった。
  発熱する場合は翌日が多く、接種3日目には解熱した。
  年代別に見ると、20代がもっとも高い値となっており、年代が上がるにつれて減少する傾
  向が見られる。

●接種部位の疼痛は90%以上が自覚、接種翌日が最も頻度が高く、接種3日後には軽快した。

●1回目に比べ、2回目接種では接種翌日に頭痛(5割)、全身倦怠感(7割)を自覚した。

●65歳以上(578 人)では発熱9%、全身倦怠感38%、頭痛21%であったが、接種部位疼痛
  は78%であった。
 

 

2.接種日・副反応における給与と休暇の取扱い

 ワクチンを接種している時間について給与を支払うべきか否かのお問合せが増えています。
 まず、労働時間と給与との関係を整理しましょう。
 ワクチン接種はあくまでも希望者が行うことになっていますので、勤務時間中の接種は労働
時間には該当しません。
 また、副作用が出て会社を休んでも、働いていないのでノーワーク・ノーペイの原則により、
その日の給与を支払う義務もありません。
 そのため、月給者であればその時間・日の給与はカット、時給者は無給でも問題はありません。
 ただし、本人に年次有給休暇(有休)がある場合に、1日単位又は時間単位で付与することは
できます。

 このワクチン接種の労働時間の取扱いについて、厚生労働省では「新型コロナウイルスに関す
るQ&A(企業の方向け)」で、次のように4つの方法を推奨しています。
 
➀特別休暇の付与(有給)
➁失効年休積立制度の活用
➂中抜けによる終業時刻の繰下げ
➃出勤みなし

 
 職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
 また、ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる➀休暇制度を新設することや、➁既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと、➂特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や➃出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなどは、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられます。(以下、省略)
                             ~厚生労働省 「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)より~

 ちなみに、国家公務員はワクチン接種の時間や副反応により療養の必要がある場合、公務に支
障のない範囲内であれば何日でも職務が免除されることになっています。

 

3.特別休暇にする場合の検討事項

 ご相談を受けていると、ワクチンの接種日および副反応が出て会社を休む場合に、年次有給休
暇(有休)の取得率が低い会社は有休扱いとし、取得率が高い会社は特別休暇(有給)を付与す
る傾向があります。
 そこで、特別休暇とする場合の検討事項をいくつか挙げてみます。
 
(1)今回限りか? または来年以降も続けるのか?
      国の方針により2回のワクチン接種は、来年以降も続けると仮定した場合に、特別休暇は今回
      限りなのか、それとも来年以降も行うのかを検討しなければなりません。
      人によって違いはありますが、来年以降も認める場合は、毎年2~4日特別休暇を付与する可
      能性があります。
      それは多いと思うようであれば、上限日数を設ける必要があります。

(2)対象者の範囲
      二つ目は、対象者の範囲です。正社員以外に契約社員やパートタイマーなども特別休暇の対象
      とするのかを決めます。
      仮に正社員のみを対象とする場合、同一労働同一賃金の観点から不合理な扱いになっていない
      かを検討する必要があります。

(3)家族の付添い
      従業員が高齢者や障害のある家族を扶養している場合に、ワクチン接種で付添いに行く日も特
      別休暇扱いとするのかも検討事項になりそうです。

(4)就業規則の整備
      〝休暇〞は、就業規則の絶対的必要記載事項となりますので、従業員数10名以上の企業であれ
      ば、就業規則に記載するとともに、所轄労働基準監督署への届出と従業員への周知が必要になり
      ます。
 
 このように考えると、〝たかがワクチン、されどワクチン〞ですね。

 以上を踏まえて、どのようなルールにするかは、会社の判断に委ねられています。

 

お問合せ先

今回のワクチン接種以外にも、新型コロナウイル感染症に関する人事・労務管理、社会保険全般
についてのご相談に応じています。
ご質問などがありましたら、お気軽に問合わせください。
 
社会保険労務士法人 ジンザイ
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