労務管理による株式公開支援

労務管理による株式公開支援

 ここ数年、堅調な株式市場を背景にして、株式公開(IPO)を目指す企業が増えています。

 株式公開をするためには、証券会社や証券取引所による公開審査を受けなければなりません。
公開審査ではコンプライアンス体制が適正に整備されているかが審査されます。
 特に近年では、労務のコンプライアンスが重要視されていますので、「労務管理」が審査のポイントになっています。

 労務管理体制に重大な問題が発見されると上場スケジュールにも影響します。
場合によっては延期や中止に至るケースもたびたびあります。

 

労務管理審査のポイント

 株式公開審査では、労務管理の遵守状況について審査が行われます。
未上場企業であれば、そこまで意識しなくてもと思えるような労働法令も、上場を目指すうえでは避けて通れません。

 労務管理体制が完全という会社はありませんので、何らかの改善が求められます。
改善には数年の期間を要するものもありますので、遅くとも直前々期までには着手する必要があります。

 また、審査では労働基準監督署からの調査の状況も対象となります。
 労働基準監督署から是正勧告を受けたにもかかわらず、十分な是正報告がなされていない場合は、上場を断念せざるを得ない
状況となりますので、日ごろから労働基準法などの遵守を意識しておかなければなりません。

 株式公開審査における主な労務管理のポイントには、次のようなものがあります。

 

1.就業規則など人事労務管理諸規程の整備

 経営・組織規程、総務・経理規程などと同様に、就業規則をはじめとした人事・労務管理諸規程を整備する必要があります。
 たとえ整備されていたとしても、実際にそれに基づき運用されているかも問われますので、規程と運用との間に整合性がとれて
いることも重要になります。

 株式公開審査で必要な主な人事労務管理関連諸規程は、次のとおりです。
 会社の実情に併せて整備する必要があります。

・就業規則 ・国内・海外出張旅費規程
・パートタイマー就業規則 ・出向規程
・嘱託社員就業規則 ・人事考課規程
・賃金規程 ・テレワーク規程
・退職金規程 ・慶弔見舞金規程
・育児休業規程 ・ハラスメント防止規程
・介護休業規程 ・その他

 

2.36協定の届出、時間外労働上限規制の管理

 時間外・休日労働を行う場合は、事前に36協定の締結と届出が必要になります。
36協定などの協定届や就業規則の届出には、従業員代表者の署名・捺印をします。
 近年の傾向として、会社が従業員代表者を指名しているなど選出方法に瑕疵があると認められた場合は、36協定の届出そのものが
無効となってしまいます。
 そのため、届け出をするだけではなく、代表者選出の経緯も法令に基づき行われなければなりません。

 2019年4月(中小企業は2020年4月)から、時間外労働の時間数に上限規制が設けられました。
 36協定を届け出ても上限時間を超えた場合は法違反となりますので、超過しないよう毎月のチェックも欠かせません。

 

3.労働時間の適正な把握・管理

 労働時間を適正に把握するには、手書きやエクセルシートへの記入ではなく、その日ごとの時間が客観的に把握・管理ができる
勤怠システムなどの機器を使用する必要があります。
 客観的な方法により労働時間を記録していても、実労働時間との間に乖離がある場合は、どちらが正しいのか本人への確認が
必要になります。
 労働時間の適正な把握・管理がなされていないと、未払い残業代や長時間労働による過労問題へとつながるおそれがありますので、
労務管理の中でも最も重要といえます。

 

4.適正な割増賃金の支払い、未払い残業対策

 時間外・休日・深夜に勤務した場合は、割増賃金の支払いが必要になります。
 割増賃金の計算方法は法令で定められていますので、時間当たりの単価の算出や割増率、端数処理の方法などは法令に則って計算を
しなければなりません。

 また近年では、いわゆる〝名ばかり管理職〞や〝偽装請負〞といわれるような、管理監督者や請負(業務委託)の要件を満たしていない
ケースを多々見受けられます。
 労働法令は実態に即して判断されますので、名称のいかんを問わず、要件を満たしていない場合は、割増賃金支払いの対象になります。

 2020年4月に120年ぶりに民法が改正施行され、賃金の消滅時効が2年から5年へと延長されました(当面は5年ではなく3年へ)。
 そのため、労働基準監督署や従業員から未払い賃金の支払いを求められると、これまでに増して企業負担は重くなります。
 早期に現状確認をしてリスクの低減を図る必要があります。

 

5.安全衛生管理体制の整備

 たとえば、常時50人以上の従業員を雇用している事業主には、産業医の選任、衛生管理者の選任、衛生委員会の開催、ストレスチェックの
実施などが義務づけられています。
 常用労働者数に応じた安全衛生管理体制が構築されているかなどが審査の対象になります。

 
 当社では、IPOを目指す企業様が計画通りに実現できるよう、次のようなコンサルティングを提供しています。
 当社の代表は、前職時代(証券会社勤務)に株式公開業務にも従事し、数社の公開支援の実績があります。


コンサルティングの内容

  1. 労務診断(労務デューデリジェンス)の実施と改善提案
  2. 就業規則など公開審査で必要な人事労務管理諸規程の整備
  3. 労働時間管理、残業代対策、社会保険加入など審査で特に必要とされる労務問題の相談
  4. 組織体制の整備と、人事・賃金・評価制度の構築支援
  5. 主幹事証券会社、監査法人との折衝
  6. 証券会社、監査法人、株式公開コンサルタントなどの紹介
「株式公開のための労務管理と書式・規程集」(編著 日本法令)

 


コンサルティング料

対象となるコンサルティングの範囲によって異なります。


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