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複数の会社から給与が払われている場合の社会保険料の扱いは?

複数の会社から給与が払われている場合の社会保険料の扱いは?

2020/08/18

給与計算時の所得税の取扱い
 給与計算をする際の所得税の取扱いについて、二ヵ所以上の会社から給与が支払われている場合に、「主」たる会社から支払われている給与は「甲欄」から、「従」たる会社のは「乙欄」から、それぞれの会社が所得税を控除して税務署に納付することになっています。
 この場合に、社会保険料の控除や納付は、どのようにすればいいのでしょうか?
 社会保険料は所得税の取扱いとは異なり、「主」たる会社を管轄する年金事務所に対して、「従」たる会社から支給されている給与額も申告することになります。そして、合算した給与額の割合に応じて各々の会社が本人から保険料を控除して、各々の会社を管轄している年金事務所に対して納付することになります。
 しかし、このような手続きをしなければならない、ということをほとんどの人は知りません。「主」たる会社の給与額のみ申告して保険料を納付している会社が多いのではないかと思います。

 
年金事務所の調査
 最近、このように複数の会社から給与が支払われている場合の社会保険料の取扱いについて、問合せが増えています。その理由としては、年金事務所からの加入促進や調査対象となったことが挙げられます。
 年金事務所は、同じ管轄の税務署から給与支払報告に関する情報を入手して、給与は支払われているが社会保険に加入していない会社に対して調査を行っています。
 調査の結果、「従」たる会社から支給される給与に社会保険料が控除されていないのを指摘され、保険料納付の手続きをするように指導されます。
 または、「従」たる会社で社会保険の調査が行われるときです。「主」たる会社で加入していても、「従」たる会社では加入手続きをしていないのを指摘され、合算して申告するよう指導を受けます。
 
 当社は、横浜市あるいは神奈川県内の年金事務所の調査に対応することが多くあります。他の都道府県でも同じような調査が行われているものと思います。
 社会保険料の会社負担額は給与総額の約15%もあります。大変重い負担です。そのため、種々のテクニックを駆使した保険料逃れも横行しています。
 なかには2年間遡及して保険料を徴収されるケースもあります。今後、年金事務所と税務署の連携が進めば、適正に加入し、申告しているかが明確になります。
 二ヵ所以上の会社から給与が支払われている場合の手続きは以下の通りです。

 
資格取得届/所属選択・二以上事業所勤務届
(1)複数の会社で勤務し給与を得る場合、新たに勤務する会社においても被保険者の資格があるときは、新たに勤務する会社において「被保険者資格取得届」を提出します。

(2)選択する一方の会社を管轄する年金事務所に「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。

 
社会保険料の取扱い
 保険料の基礎となる標準報酬月額は、2つ以上の報酬月額を合算して決定します。それぞれの会社が納付する保険料額は、合算して決定した標準報酬月額の保険料額を、それぞれの会社の報酬月額に基づき按分して算出される金額となります。
 社会保険料は、それぞれの会社で徴収した保険料を、それぞれの会社が選択した保険者(年金事務所又は健康保険組合)に納付します。
 
※一社から支給される給与額が139万円以上の最高額でも保険料は按分になりますので、届出が必要です。しかし、保険料額は上限となりますので、合算しても個人負担額の金額は変わりません。
 
例)A社から標準報酬月額20万円 + B社から標準報酬月額30万円 =標準報酬月額50万円
標準報酬月額50万円の保険料 ⇒ 健康保険料:49,550円 厚生年金保険料:91,500円

A社:健康保険料     49,550円×20万/50万=19,820円 
厚生年金保険料   91,500円×20万/50万=36,600円

B社:健康保険料     49,550円×30万/50万=29,730円 
厚生年金保険料   91,500円×30万/50万=54,900円