働き方改革関連法の要点整理 ~第2回 有給休暇取得の義務化~
2018/12/01
2018/12/01
引き続き働き方改革関連法の重要ポイントについて解説しています。今回は第2回目で、多くの中小企業で対応が迫られる「年次有給休暇の取得義務」について解説します。業務の繁閑の時期を検討したり、本人の希望を聞いたりして、いつ、どのように付与するかを決める必要があります。
1.年次有給休暇の取得義務 (大企業・中小企業:2019年4月~)
(1)義務化の内容
10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理職、パートを含む)に対し、毎年5日、時季を指定して有給を取らせる義務を事業主が負うことになりました。
労働者からの時季指定や計画年休により消化された分は、5日に含めてよいとされていますが、5日取得できない場合は、罰則が設けられました。(30万円以下の罰金)
(2)年次有給休暇の取得率
2017年度の取得率は平均で51.1%(男:47.5%、女:57.0%)。従業員数別では1,000人以上58.4%、300~999人47.6%、100~299人47.6%、30~99人44.3%です。政府はこの取得率を2020年までに平均で70%程度にすると成果目標を掲げています。
(3)年次有給休暇の付与日数
有給休暇は、6ヵ月継続勤務し、かつ8割以上出勤した労働者に10日与えられます。さらに、1年6ヵ月勤務した場合、1日増えて11日、2年6ヵ月勤務した場合、12日、、、と毎年日数は増え、最終的に6年6ヵ月以上で20日になります。(所定労働日数が少ないパートは、別で正社員よりも少ない日数になります。)
2.取得の促進方法
(1)年度当初に労働者の意見を聴いた上で、年次有給休暇取得計画表を作成し、これに基づき
有給休暇を付与する(事業主が時季を指定)
<ポイント>
・比較的閑散な時季に、会社が取得日を指定して取得促進を図る
(2)半日単位の年次有給休暇を活用し、小刻みに取得促進をする
<ポイント>
・有給休暇分割の最低単位は原則として1日単位です。しかし、労働者が希望し、会社が同意
した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない場合は半日単位であっ
ても問題ありません。
・半日単位で取得した場合、日数は0.5日として取扱います。
(3)計画的付与を実施し、取得促進する
<ポイント>
・計画的付与とは、会社の業務が比較的閑散な時季に労使で協定を締結して、会社全体で有給
取得、班・グループ別で交替制で取得、個人別で取得することで取得促進を図る方法です。
・計画的付与制度の導入では、就業規則への記載と労使協定の締結が必要条件になります。
2.年次有給休暇の付与基準日統一
有給休暇の付与日は、労働者の入社日から6ヵ月後に権利が発生します。入社日が異なれば労働者ごとに発生日もバラバラになりますので、毎年5日の時季指定の管理が煩雑になります。
管理の煩雑さを避けるには、付与する基準日を統一する必要があります。ただし、基準日を統一する場合、労働者に不利な取扱いはできませんので、初年度は本来の基準日より前倒しになります。付与基準日統一により、基準日から1年以内に時季を指定して5日付与することで管理は簡素化されます。
3.年次有給休暇管理簿
年次有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類を作成し、3年間保存することが新しく義務となりました。