社会保険手続きや36協定の押印廃止における注意点とは?
2021/01/19
2021/01/19
当社では、従来より社会保険手続きは可能な限り電子申請を行って、できるだけデジタル化の流れに対応するよう努めています。
新型コロナウイルスの拡大を受けて、国や神奈川県・横浜市などの地方自治体では、デジタルガバメント(行政手続きのデジタル化)が
急速に進み、届出印鑑が省略できる書類が一気に増えてきました。
社会保険手続きにおいては、大企業は令和2年4月から電子申請が義務化されました。
懸案であった健康保険組合でも、電子申請を可能にする動きが広がりつつあります。
しかし全体では、電子申請の普及率は9%(平成27年)とされ、今も多くの企業にとって採用されていません。
そのような流れを受け、健康保険・厚生年金保険の書面の押印が、原則廃止とされました。
また、令和3年4月1日より、時間外・休日労働協定届(36協定)の押印も不要になり、書式も変わります。
一見簡素化されたようですが、届出印鑑の省略には注意点もありますので、一緒に確認していきましょう。
協会けんぽでは、厚生労働省より発出された「新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点からの適用事業所等が書面で提出する届出等の
取扱いに係る緊急対応について(事務連絡)」に基づき、押印・署名を省略するとしています。
実際に手続きの多いものでは、保険証再発行などが事業主・本人ともに押印廃止となっています。
しかし、傷病手当金や出産手当金など、給付に関するものは従来通り押印が必要なので、ご注意ください。
令和2年12月25日より、年金手続きの申請・届出様式の押印が原則廃止されます。
HP内の記入例等も、入社時の資格取得届などをはじめとした全ての手続きについて、押印欄は削除されています。
一方、金融機関への届け印、実印による手続きが必要なもの(口座振替関係書類・委任状・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書など)
については、押印が必要です。
なお、令和2年12月25日以降も旧書式で手続きは可能であり、その際も押印は不要です。
◆協定届の押印・署名について
時間外・休日労働届(36協定届)は、令和3年4月より新書式となります。
変更点は以下の二つです。
➀36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設
➁36協定届における押印・署名の廃止
➀のチェックボックスは、労働者代表が適切に選ばれているか(管理監督者ではない/36協定を締結する者を選出することを明らかにして
選出されている/使用者の意向に基づいて選出されていない)を確認するものです。
➁の押印・署名については、結論から言うと、従来通り必要になります。
36協定の届出方法は、以下の二種類があります。
(1)36協定の内容について労使で協議し、協定書を兼ねた協定届に押印・届出による方法
(2)36協定の内容について労使で協議し、協定書に押印・作成し、協定書とは別に協定届を作成・届出する方法
今回、協定届への押印が不要になるのは(2)の場合です。
協定書の押印は依然必要であることと、多くの企業では協定書と協定届を兼ねる(1)の方法を取り入れているため、結果的には今まで
通りとなります。作成の際はご注意ください。
ご参考までに、「協定書」とは労働者代表(または過半数労働組合)と会社との間で、時間外・休日労働について協定した内容を記した書類です。
他方、「協定届」は上記の協定書に基づき、所轄労働基準監督署に届出る法定書類です。
◆本社一括の届出について
これまでは、すべての事業場について、ひとつの過半数労働組合と36協定を締結している場合のみ、本社一括の届出が可能でしたが、
令和3年3月末からは事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても、電子申請に限り36協定の本社一括届出が可能になります。
また、36協定届、就業規則(変更)届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届については、控え文書への受付印がもらえるようになります。
電子申請での届出・申請が行いやすくなりそうです。