労使協定の過半数代表者の選出方法が厳格化へ!!
2019/03/29
2019/03/29
働き方改革関連法が成立し来年4月から改正施行されます。改正法の柱の一つである「罰則付きの残業時間の上限」の導入に伴い、来年から36協定のフォーマットも変更になります。新しい36協定では記載すべき事項も増えます。
36協定の締結にあたって、労働者を代表する「過半数代表者」の選出方法が今後重要になりそうです。労使協定の過半数代表者というと、誰だかかわからない、本人も覚えていない、といったことはありませんか?
選出方法が適正でないと、労使協定そのものが無効になる可能性がありますので、今回の法改正を契機に適正な選出方法になっているか、確認してみて下さい。
1.36協定とは!?
(1)時間外・休日労働に関する協定届(36協定)
1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて従業員を労働させる場合、または、週1回の法定休日に労働させる場合には、あらかじめ労使で書面による協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
この協定のことを労働基準法第36条に規定されていることから、通称「36協定」といいます。
(2)締結と届出時期
36協定の開始時期は、自由に決められます。
多くの会社では年度初めである4月からの1年間や区切れのいい1月からの1年間としています。
中には、決算を区切りにして決算月の翌月から1年間としている会社もあります。
届出は、開始時期の初日前までにする必要があります。
なお、36協定は代表者との締結だけでなく、労働基準監督署に届出しなければ効力は生じませんので、実務上、届出が大変重要になります。
2.今後重要な過半数代表者の選出方法!!
(1)過半数代表者とは!?
36協定のように労働者の代表者と使用者との間で結ぶ協定を「労使協定」といいます。
ここでいう労働者代表とは「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は労働組合」、労働組合がない場合は「労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)」になります。
ほとんどの会社では労働組合がありませんので、過半数代表者と協定を結ぶことになります。
この過半数労働者の選出方法が適正に行なわれてないという理由で、労使協定そのものが無効になった裁判例もあります。
また、近年では株式公開(IPO)でも代表者選出が審査のポイントにもなっています。
加えて、今回の法改正により残業時間管理が厳格になることから、協定を結ぶ代表者の役割は重くなります。
(2)過半数代表者となるための要件
・労働基準法第41条第2項に規定する管理監督者でないこと
・36協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにした上で、投票、挙手などの方法により選出され、使用者の意向に基づき選出された者でないこと。
・パートやアルバイトなどを含めたすべての労働者が手続きに参加できるようにしなければなりません。
・社員親睦会の幹事等を自動的に過半数代表にした場合、その人は36協定を締結するために選出されたわけではないので、その協定は無効になります。この場合は、改めて36協定の締結当事者となることの信任を得なければなりません。