〝任せる〞とは?
2022/02/04
2022/02/04
日頃の業務の中で、〝任せる〞という言葉がよく使われています。
たとえば、社内では上司が部下に対して「○○の件は君に任せたから」とか、外部の取引先との間では「お宅の会社に任せているから」と。
日常使われている〝任せる〞という言葉には、二つ種類があるものと思います。
ひとつは「丸投げ型」です。
指示が曖昧で、権限も与えず、「よくわからないから、やっておいてくれ」という形態です。どちらかというと細かい指示をしたり、報告を聞いたりするのは煩わしく、
だからと言って指示した人が行動したり管理をしないで、〝任せる〞という一語で済ませてしまうものです。
〝任せた〞結果、期待した成果が得られなかったり、失敗した場合には「何をやってるんだ」と叱られたり、「安心して取引できない」と言われて契約の解除につながることもあります。
本人は今までの言動や付合いで信頼されていたから〝任された〞と思っていていたのに、期待を裏切る結果になることで一気に信頼を失ってしまうものです。
この「丸投げ型」の〝任せた〞は、要注意です。
もうひとつは、「本来型」です。
最終的に期待する結果だけを指示し、一定の権限を与えたうえで、詳細な報告も求めず、どのように遂行するかを委ね、良い結果を望む形態です。
たとえば、「○○という権限を与えるので、○○についてこういう結果を出してほしい」。
あるいは、部下の成長を促すために、自主性を重んじて敢えて指示をしない〝任せる〞というケースもあります。
この場合、ある程度の権限を委譲しているので、結果が伴わないとき任せられた本人は一定の責任を負うこともあります。
もちろん、指示をした上司は委任したわけだから、連帯して、あるいはそれ以上に責任を負わなければなりません。そのため、「本来型」の〝任せる〞には覚悟が伴います。
指示した人は、当該業務を〝任せる〞は「丸投げ型」なのか、または「本来型」なのかを区別して責任をもって発言する必要があります。
そうでないと任せられた部下は、権限の範囲とどこまで結果責任を問われるのかがわかりません。上司の発言に懐疑的になり、部下の信頼を失うおそれがあります。
本記事は、当社の事務所だより「INFORMATION」2017年2月号に掲載したもの加筆しています。
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