冠位十二階と人事制度
2025/11/18
株式会社 人財経営センター
2025/11/18
人事制度の歴史とは?
3世紀の古墳時代から8世紀奈良時代にかけての古代史が好きで、その舞台となる奈良県には毎年何度も足を運んでいます。AI大流行の今の時代においても、いまだに古墳や遺跡を発掘している光景を見かけると何が出るのだろうかとワクワクします。古の謎解きにはロマンを感じます。
話は変わりますが、企業の人事制度の礎はこの地で形成されました。
自称人事コンサルと称する人の中にはやたらとカタカナやアルファベットを使う者が多いのですが、それを生業とする職業に就く者は、まずはそれが形成された経緯や歴史を押さえておかなければなりません。
人事制度は大別して、「考課(評価)制度」「報酬(賃金)制度」「等級制度」の3つで構成されています。4月号に掲載した「考課(評価)制度」はそのひとつで、平城京跡から出土した木簡に当時の用い方が記されています。
同じように多くの会社で導入されている等級制度は人事制度の基軸ともいえるもので、その源流は7世紀初頭の飛鳥時代に遡ります。
小学校で習った、聖徳太子が作ったと伝えられる「冠位十二階制度」がその始まりです。
冠位十二階とは?
冠位十二階は、6世紀に仏教や儒教の思想が日本に取り入れられ、政治や社会に変革をもたらした時期に制定されました。当時の日本は蘇我氏や物部氏に代表されるように、豪族の権力争いが続いたため国家の統治が不安定な状況でした。
政党がくっついたり離れたりしているどこかの国みたいですね(笑)。
聖徳太子はこの混乱を収束させ、国家を強化するために、世襲ではなく家柄にも縛られず、有能であれば誰でも冠位につける制度として導入しました。能力や徳(人徳)、行(勤務態度)が重視されたのです。
同制度は、「徳」「仁」「礼」「信)」「義」「智」の6つの儒教の徳目を、それぞれ大小に分けて合計12階級で構成されています。
6つの徳目には上位階級から順に紫、青、赤、黄、白、黒色の冠が付けられ、各色は濃淡で分けられて12色となります。
つまり、能力等のレベルに応じて6つの等級に大括りし、各々を大小の2段階に細分して、12等級制度となっています。
冠位十二階は、日本の官僚制度の原点でもあり、奈良時代に確立した律令制へと発展しました。
その後、何度かの変遷を経ながら明治時代に導入された官僚制度にこの考え方が引き継がれており、今日に至っています。
民間企業の人事制度は官僚制度を模倣して自社流にアレンジし、各社各様の制度へと変貌を遂げているのです。
古代史の教科書を飾った飛鳥・藤原京は、来年のユネスコ世界遺産登録を目指しています。登録されると大混雑するのは容易に予想できます。
その前に人事制度源流の地を訪れてみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士法人ジンザイでは、神奈川県及び東京都の企業様を中心に、
人事処遇制度の設計、労務相談、就業規則その他諸規程の整備、社会保険制度の相談・申請手続きなどの業務を行っています。
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