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なぜ、自己都合で退職するのに外部機関に相談するのか?

なぜ、自己都合で退職するのに外部機関に相談するのか?

2024/11/21

厚生労働省では毎年、民事上の個別労働紛争の調査結果を公表しています。

これは、全国の労働局や労働基準監督署等に主に従業員個人から寄せられる労働相談を集計したものです。

 

労働相談の中で最も多いのは、ここ十数年間、いじめ・嫌がらせ(パワハラ)がダントツで、全体の2割を占めています。

兵庫県首長のパワハラ疑惑をはじめ、パワハラは連日トップニュースで報道されるくらい何かと注目の的になります。

 

2番目以下の相談内容は、「自己都合退職」「解雇」「労働条件の引下げ」と続きます。

パワハラに比べれば、どれも特に取り上げるほどではありません。

 

ここで気になるのは、第2位の「自己都合退職」についてです。

自分の意思で会社を辞めるのは自由なのに、「なぜ労基署などの公的機関にわざわざ相談するのか?」という疑問が生じます。

 

この相談は人手不足感が顕著な地方に多くみられます。

地域によってはパワハラを超える相談件数となっているようです。

今後は全国的に増える傾向にあります。

 

その要因として考えられるのは、ここでもやはり「人手不足」が挙げられます。

 

事例として、「人手不足のため、退職を認めてくれない」、「代わりの従業員を採用するまで退職させない」といった

会社の強い要望を振り切れずに、どうしたら辞められるのか、という相談が寄せられているようです。

 

時世柄、会社の気持ちはよくわかります。

売り手市場にある従業員の気持ちもよくわかります。

 

このような事情を背景にして、最近では「退職代行」が流行しています。

経験した会社も多いのではないでしょうか。

 

「退職代行」とは、本人に代わって外部の第三者が会社に退職の意思を伝え、

会社との退職交渉や手続きを代行するビジネスです。

退職に伴う有給休暇の消化や未払い残業代・退職金請求などの交渉も同時に代行します。

退職代行は30,000~50,000円が相場のようです。

 

昭和世代の私にとっては、退職の意思表示を第三者に依頼するというのは到底考えられません。

でも最近の若年者が退職代行を使うのは、引き留めの回避、退職手続・ストレスの軽減、

黙って退職するよりはましなどの理由があるようです。

 

退職には様々な理由があります。人によって、あるいは転職回数によって退職に対する考え方は異なります。

ただ、「立つ鳥、跡を濁さず」は礼儀です。

本人も、できたらみんなに惜しまれて辞めるのを望んでいるのではないでしょうか。

 

先日、「退職代行への実務対応」と題するセミナー案内が送られてきました。

確かに、退職代行会社から突然電話がかかってきたとき、慣れていない場合は、

どのように返答すべきか戸惑いますので、タイムリーです。

 

 

人事労務分野でも次々と新しい課題とそれの解決策、あるいは派生するビジネスが生まれています。

これからも採用・退職にまつわる問題は、形は変わっても尽きることはないものと感じています。

 

 

 

 

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