協会けんぽと健康保険組合は何が違うのか?
2021/03/30
2021/03/30
令和3年3月分(4月納付分)より、全国健康保険協会の健康保険と介護保険の料率が改定されました。
これらは従業員と会社で折半するため、会社の負担も料率によって変わります。
都道府県別の健康保険料率では最低が新潟県の9.5%、最高は佐賀県の10.68%となっています。
全国平均は、平成24年より変わらず10.0%で維持されています。
また、今回の改定で介護保険料率が1.79%から1.80%へ変更となります(全国共通)。
主な都道府県における健康保険料率は下記のとおりです。
都道府県 | 宮城県 ⇓ | 千葉県 ⇑ | 東京都 ⇓ | 神奈川県 ⇑ | 大阪府 ⇑ | 宮崎県 ⇓ |
前年度 | 10.06% | 9.75% | 9.87% | 9.93% | 10.22% | 9.91% |
今年度 | 10.01% | 9.79% | 9.84% | 9.99% | 10.29% | 9.83% |
ところで、全国健康保険協会と健康保険組合は同じ健康保険制度でも、何が違うのでしょうか?
社会保険労務士の仕事をしていると、「どちらの方が有利ですか?」と聞かれることがよくあります。
そこで、各々の違い、特徴をまとめてみました。
全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)は、被保険者数2,480万人(令和元年度)で日本最大規模の健康保険の保険者です。
中小企業が主に加入し、加入事業所の約8割が従業員9名以下です。
近年は、健康保険組合で第2位だった人材派遣健康保険組合などが解散し協会けんぽへの移管が増えた関係で、加入者数も増加の一途をたどっています。
現在の平均料率は10%ですが、発足当時の昭和22年は3.6%で、現在の約1/3でした。
その後はご存知の通り右肩上がりとなっています。
平成12年からは介護保険制度が創設され、平成21年からは料率が都道府県別になりました。
保険料は、年齢構成を除外したうえで各都道府県の医療費に応じて決定されます。
日本の医療費は西高東低といわれ、西日本にいくほど保険料も10%を超えるところが多くなってきます。
また、平成30年からは特定健診や後発医薬品の使用割合によって、保険料を減額するインセンティブ制度も始まっています。
昨年は全国で一番料率の高い佐賀県が、この制度により保険料を減額しました。
全国の健康保険組合(以下、健保組合)の被保険者数は1,637万人、組合数は1,388(平成31年度)です。
単独の設立条件は、被保険者数が700人以上必要で、同業種の複数の企業が共同で設立する場合は3,000人以上の被保険者が必要となるため、
主に大企業やそのグループ企業が加入しています。
保険料率は健保組合の財政に応じて独自に決めることができます。
また、協会けんぽでは保険料は労使折半ですが、健保組合では事業主負担を増額することも可能です。
また、医療機関の窓口で費用を支払う場合、協会けんぽでは原則3割負担ですが、「健保組合直営の病院では費用を徴収しない」など取り決める
こともできます。
出産手当金や傷病手当金などの給付に関しては、上乗せや支給期間の延長などの独自の給付を行う健保組合もあります。
協会けんぽ・健保組合ともに、令和3年3月より順次、マイナンバーカードによるオンラインの資格確認ができるようになりました。
ただし、医療機関によっては利用できない場合もありますので、確認が必要です。
マイナンバーカードで資格確認するメリットとしては、急な医療機関の受診で費用が高額になっても限度額適用認定証が不要である点や、転職や結婚
による氏名変更時に保険証発行を持たなくていい点、薬剤情報や特定健診情報を医師等と共有できる点などがあります。