アクセス横浜駅 きた東口 徒歩5分

045-440-4777

営業時間:平日 9:00~17:45

jinji@jinzai-info.com

“収入”と“所得”は、何がどう違うのか?

“収入”と“所得”は、何がどう違うのか?

2020/02/03

 年末調整の仕事や社会保険加入の扶養家族の相談を受けていると、”収入”と”所得”という、類似した用語が登場して混乱してしまうことがあります。この二つの用語は普段同じような意味で使っていると思いますが、実は大きな違いがあります。
 社会保険労務士業務では、税金と社会保険の両方で、“収入”と“所得”に携わります。そこで、日ごろの業務を通じて感じる”収入”と”所得”の違いについて解説します。

 

1.《収入》・《所得》・《課税所得》


 簡単に言うと《収入》は「給与・賞与の額面を合計したもの」で、サラリーマンであればいわゆる年収です。《所得》は収入から「給与所得控除」を引いたものです。給与所得控除とは労働する上での経費(被服購入費など)のことで、仕事内容に関わらず次の表により年収で決まってきます。

 

年収 給与所得控除
180万円以下 収入金額×40% 65万円未満は65万円
180万円~360万円 収入金額×30%+18万円
360万円~660万円 収入金額×20%+54万円
660万円~1000万円 収入金額×10%+120万円
1000万円超 220万円(上限)

 
 給与所得控除後は、個人別に「所得控除」を引きます。社会保険料や生命保険料控除、家族がいる場合は扶養控除等です。これらを控除して残った金額が《課税所得》で、所得税や住民税課税の基礎になります(住宅控除があれば、さらに控除します)。
 それに以下の税率を乗じて算出します。
 

課税所得 所得税率
195万以下 ×5%
330万円~695万円 ×20%-427,500円
695万円~900万円 ×23%-636,000円
900万円~1,800万円 ×33%-1,536,000円

 
 年末調整では算出した所得税額と、月々徴収していた1年間の所得税の合計額との間で差異が生じれば精算をし、多く徴収していれば還付され、逆に少ない場合は追加徴収となります。そのため、同じ年収でも金額が異なることがあります。
 その原因のひとつは、年の途中で扶養者数に変更(妻を扶養に入れた、子が就職して扶養を抜けた等)があるためです。というのは、年末調整は12月31日時点の現況を年初からの通年として計算するからです(死亡を除く)。
 また、納付した生命保険料等が年末にならないとわからないという事情もあります。

 

2.〈健康保険の扶養〉と〈税法上の扶養〉の違いとは?


 配偶者を健康保険の、又は税法上の扶養に入れる場合も、次のように収入と所得の違いがあります。
 健康保険の扶養要件は、交通費や失業保険などを含めて年収130万円未満が対象です。一方、税法上の扶養要件は、年間所得が85万円以下である必要があります。年収に換算すると150万円以下です。この金額には交通費や失業保険は含みません。
 また、健康保険の扶養は内縁の配偶者でも可能ですが、税法上の扶養は不可です。健康保険は年齢制限があり75歳までですが、税法では年齢制限はありません。
 

健康保険の扶養 税法上の扶養
・年収130万未満、月額基準(=108,334円/月)(非課税交通費、遺族・障害年金、失業保険、傷病・出産手当金を含む) ・年間所得85万円以下(年収150万円以下)、1月~12月の年額基準。(非課税交通費、遺族・障害年金、失業保険、傷病・出産手当金は含まない)
・内縁の配偶者も加入可能 ・内縁の配偶者は加入不可
・75歳まで ・年齢条件なし

 
 ここで注意すべき点は、配偶者を健康保険の扶養に入れる場合です。
上述の通り、年収130万円未満には交通費も含みます。源泉徴収票や非課税証明書には、非課税交通費が掲載されないため、計算していたつもりだが130万円を超過して扶養に加入できない、ということがないように留意する必要があります。

 ご不明な点は、横浜の社労士法人ジンザイまでお問合せください。  TEL:045‐440‐4777