インフルエンザに罹患したときの労務管理
2020/01/28
2020/01/28
中国武漢で発生した新型コロナウイルスが、世界中に猛威を振るっています。
中国当局は武漢市の実質的な「封鎖」に踏み切りました。
当面は新型コロナウイルスの感染に気を使わなければならない状況が続きそうです。
さて、日本では毎年11月頃から3月にかけて、インフルエンザが流行します。
この時期になると、インフルエンザによる休業の際の賃金や休業について、お問合せが増えます。
学校の場合は学校保健安全法により、出席停止期間や学校閉鎖が法律で定められています。
しかし、職場に関しては直接的な規定がないため、会社ごとで判断するしかありません。
では、社員がインフルエンザにかかったとき、会社はどのように対応すればよいのでしょうか。
社会保険労務士の立場から、労務管理の観点で解説します。
インフルエンザによる休業の場合、ケースによって対処が変わってきます。
(1)社員が感染して休業する場合最も一般的なケースとして、有休が残っていれば有休申請のうえ医師の指示する期間を休んでもらいます。有休なのでその間の給与は満額支給します。
しかし、入社したばかりで有休がまだ付与されていない場合、又は有休をすべて使い切ってしまった場合は、ノーワークノーペイの原則により休んだ日数に相当する賃金は、欠勤控除(カット)の対象になります。
もうひとつ、休業手当というものがあります。労働基準法第26条で定める休業手当とは、『使用者の責めに帰すべき事由』による休業時に平均賃金の6割以上を支払うというもので、インフルエンザに罹患し医師の診断に基づき休むのは風邪で休むのと同じなので、休業手当を支払う必要はありません。
ただし、医師による指導等の範囲を超えて休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。
(2)家族等が感染して休業する場合感染者と近くで仕事をしていたり、家族がインフルエンザに感染していたらどうでしょうか?本人にはインフルエンザ様症状がない場合は職務の継続が可能となると考えられます。この場合、使用者の自主的判断で休業させるのは、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。
☑予防接種接種後2週間後~5ヶ月ほど効果があります。
接種を強制することはできませんが、副作用などを説明した上でルール化します。
費用は会社負担が望ましいですね。
または健保組合によっては補助制度がありますので、利用するのがよいでしょう。
社会保険労務士事務所の年末年始は、年末調整や冬季賞与計算に追われる時期のため、休むことができません。
そこで当社では、11月に会社負担で予防接種の受診を義務付けています。
☑報告義務の徹底
インフルエンザかもしれない、家族がインフルエンザにかかった場合はすぐに報告してもらいます。
中には忙しさのあまり報告をためらう方もいますので、普段から上司・同僚間で相談しやすい職場の雰囲気も大事です。
☑その他、日常生活全般
予防接種は、インフルエンザの発症(発熱等)・重篤化をおさえる効果がありますが、
実は感染そのものを完全に防いでくれるわけではありません。
感染しないためには、日頃の注意が重要になります。
外出から戻った際の手洗い、うがい、加湿器や水分補給によるのどの加湿や咳エチケットを周知徹底します。
出入口にアルコール除菌剤を設置したり、マスクの支給も有効です。
昨年末、インフルエンザに感染したバス運転手の追突事故が大きく報道されていました。
社員のため、会社のためにもインフルエンザ対策に取り組みましょう!