賃上げで注意したいこと
2026/08/27
株式会社 人財経営センター
2026/08/27
本格的な賃上げ(定期昇給とベースアップ)が実施されてから今年度で 4 年目になります。
大手企業の労働組合ではすでに労使交渉が終了していて、概ね 5%を超える賃上げ率となっ
ています。
物価に加えて原油価格も高騰している折、これから賃上げを決める中小企業にとっては非
常に悩ましい時期です。
この賃上げに関する実務について、注意しておきたい点をいくつか列挙しました。
やや専門的にはなりますが、今後の参考にしてください。
1.平均賃上げ率を基本給に乗じるケース
社員各人の基本給に同一の賃上げ率を乗じて今年度の基本給を決めている会社では、これ
を毎年続けると高賃金者や高年齢者の賃金額がより高額になって、低賃金者や若年者との
差が益々拡大しまうのです。
例えば、賃金テーブルの見直しで 20 万円と 40 万円だった基本給に毎年 5%乗じるケースと
します。20 万円は 5 年後に約 25.5 万円、40 万円は約 51.0 万円となり当初の 20 万円の差
が 25.5 万円に拡大します。
年功的な賃金制度の会社では、年功的になってしまいます。
2.労働分配率について
労働分配率は企業が産み出す付加価値に対して、人件費がどの程度占めているかをみます。
一般的に低い方が望ましいとされています。
計算方法はいくつかありますが、付加価値及び人件費は損益計算書のどの勘定科目から選
択するのかによって数値は異なりますので、毎年同じ勘定科目で計算したり、他社比較をす
る場合は同じ計算式で比較しないと意味は薄れます。
また、業種による違いもあります。
製造業のような設備投資型では 40~60%と比較的低く、設備投資を必要としないサービス
業では 70~80%と高くなります。
同族企業の算出も要注意です。
通常、社長や家族の報酬比率は高いため、同族の役員や従業員を含めて計算すると、必然的
に労働分配率も高くなります。
業績によってはブレが大きくなります。分析や計算方法を工夫する必要があります。
労働分配率は世間との比較やその年だけの算出が必要なときもあります。
それよりも重要なのは、過去 5~10 年程度の自社の推移をみて現状と比較して、今後の打つ
手を検討することではないでしょうか。
3.採用のための基本給引上げについて
採用が極めて困難な昨今、著名な大企業であっても入社時の基本給(月例給与)を高く見せ
るために、賞与を 1 回にしたり、退職金の掛金を減額して基本給に上乗せしたり、固定残業
代を基本給に含めて表示しています。
確かに、求職者は基本給にまず目が行きますので、訴求力はあります。
しかし、注意しておかなければならないことがあります。
社会保険料や残業単価が高くなったり、あるいは基本給に連動する賞与や退職金だと予想
外に高額となってしまうこともあります。
賞与は本来、企業業績に連動します。しかし、月例給与に振り替えることで固定化してしま
うというデメリットもあります。
社会保険労務士法人ジンザイでは、神奈川県及び東京都の企業様を中心に、
社会保険の申請手続、給与計算、労務相談、就業規則その他諸規程の整備、社
会保険人事処遇制度の設計などの業務を行っています。
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