給与デジタル払いの解禁
2022/11/15
2022/11/15
厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)分科会は先月、
給与をデジタルマネーで支払う制度の導入を盛り込んだ労働基準法の省令改正案を了承しました。
従業員側の同意がある場合などに限り、企業側はデジタルマネーで給与の支払いができるようになります。
この省令は2023年4月に施行されます。
そもそも、給与は労働基準法によって支払いの5原則が定められています。
1.通貨で 2.直接 3.全額を 4.毎月 5.一定の期日 に支払うこととされています。
企業や従業員の利便性や紛失盗難のリスクを避けるため、
現在は銀行口座への振り込みが広く行われていますが
これはあくまでも本人の同意を得ての「例外」なのです。
といっても、原則通りに現金で給与を手渡している会社の割合は、
2018年の調査で約1割だそうです。
この銀行口座への振り込みのほかに、
「PayPay」「楽天ペイ」といたスマートフォン決済アプリ口座も入金先として選択できるようになるということです。
「PayPay」「楽天ペイ」といった資金移動業者は「ペイロールカード」というプリペイド式の給与振り込みカードを発行し、
企業は銀行などを経由せず、この口座に給与を振り込みます。
従業員は「ペイロールカード」を使って現金の引き出しや買い物ができるということです。
確かに、私個人でいえば、現金で買い物をする機会はぐっと減り、
給与口座から〇〇ペイにチャージするのが日常となりました。
銀行の金利も低いままですし、〇〇ペイに給与が支払われても特に困ることもなさそうです。
とはいえ、資金移動業者が経営破綻した場合など、議論が必要な点も残されています。
さらに、資金移動業者が給与振り込みを手掛ける場合には厚労相の指定を受ける必要があり、
そうした事業者の指定などに時間を要するため、実際の振り込みが始まるのは施行から数カ月後の見通しとなっています。
メリット・デメリットを見極めながら状況を注視していく必要がありそうです。