初心忘るべからず
2022/10/24
2022/10/24
お題の「初心忘るべからず」
この言葉について、最近調べたくなる出来事がありました。
今回のブログでは、そのご紹介をします。
「是非の初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず。」
『花鏡』(世阿弥・著)より
調べたところ「初心忘(れ)るべからず」は、もともとは室町時代に生きた世阿弥の言葉でした。
現代では、「物事に慣れると慢心してしまいがちだが、最初のころの志を忘れてはいけない」
という意味で使われるのが一般的です。
しかし、この言葉の作り手である世阿弥の言葉はもっと深く、繊細な意味を持っていると
『100年後まで残したい 日本人のすごい名言』の著者:齋藤孝さんは説きます。
ご存知のとおり、世阿弥は能の大成者です。
それまで各地で催されていた猿楽や田楽を、室町幕府三代将軍足利義満の庇護を受け、
観阿弥・世阿弥親子が能という芸術に進化させました。
「是非の初心忘るべからず」が説いているのは、
「未熟だったときの芸も忘れることなく、判断基準として芸を向上させていかねばならない」ということ。
「時々の初心忘るべからず」は、
「その年齢にふさわしい芸に挑むということは、その段階においては初心者であり、
やはり未熟さ、つたなさがある。そのひとつひとつを忘れてはならない。」ということ。
そして「老後の初心忘るべからず」は、
「老年期になって初めて行う芸というものがあり、初心がある。
年をとったからもういいとか、完成したとかいうことはない。」ということ。
初めてのことに取り組む際の新鮮な気持ち、初々しい気持ち以上に、
自分の未熟さを忘れるな、つたなかったときのことを忘れるなということ。
これは仕事や人生にも通じる考え方であり、初心は一生続くと思うと、
「初心忘るべからず」は、やはり名言であり、心に響く金言だなと思います。(Y)