入社3年目パート社員のつぶやき(言葉集め・参)

入社3年目パート社員のつぶやき(言葉集め・参)

2021/06/10

こんにちは。3年目パート社員のHです。

 

最近はあちこちに咲いている紫陽花を眺めるのが通勤中の楽しみです。

真っ白な紫陽花の端が淡い水色になり、藤色になり、2色が混ざりグラデーションが広がっていくのを見ると、雨の季節も素敵だなと思います。

 

そんな今回は、6月生まれの私の師匠の言葉です。

 

私には、師匠がいます。

といっても私が勝手に決めただけです。本人にも内緒です。普通にSさんと呼んでいました。

前職の上司で、とても聡明な方でした。

 

Sさんの仕事は専門的な知識と経験を要するもので、Sさんの補佐として働くには専門用語等を理解しなければなりません。

ですが、一朝一夕で身につく知識ではないため、ネットで検索しても、資料を読んでもピンとこない言葉が多々ありました。

そんな時はいつもSさんから「どうしたー?」と声を掛けられ、誰でも理解できるような分かりやすい説明をしてくださいました。時々クイズ形式になり、そのままクイズ大会が始まることも。

とても忙しいはずなのに、なぜ手を止めてまで・・・と申し訳ない気持ちになり、

「なぜこんなに忙しいのに私に教えてくださるのですか」

と聞いたことがあります。その問いにSさんは、

「だってみんなができるようになれば、私が楽できるじゃない?」

と答えられました。9年程前のことですが、ニコッと笑ったSさんの顔をはっきり覚えています。

 

その日から勝手にSさんを師匠と決めました。

受け取った言葉を、「なんでも遠慮せずに聞いていいからね」と意訳し、分からないことは何でも質問しました。Sさんはその全てに分かりやすい答えをくれました。

 

ですが、それに疑問を持つ自分もいました。

「楽するために、頑張る」

これまでも似たような言葉を何度か、誰かから聞いたような気がするのだけど、なぜSさんの言葉は心に響いたのだろう、と。

 

それから何年かたったある年の繁忙期

雇用主から、新規契約がとれたので今月中に資料をまとめてデータを作成するようにと通達された時のことです。

「大変だけど、なんとかなるでしょ。これまでもなんとかなってきたからさ」

という言葉で会議を締めくくり、多忙な雇用主は事務所を飛び出していきました。

 

ドアが閉じたその時に、

「なんとかなるんじゃない、私がなんとかしてきたんだっ・・・」

とSさんの席の方から聞こえてきました。

「あ、ごめん。今のは無しで」

一瞬静かになった事務所で、私はにやけてしまった顔をとっさに隠しました。

なんで笑ってしまったのだろう?

納得した?腑に落ちた?惚れ直した?

語彙力の低い私にはいい言葉が浮かびませんが、『アナと雪の女王』に出てくるハンス王子の言葉を借りるなら、「そういうの、大好きだ」でしょうか・・・?

いつもは親しみやすい雰囲気で接してくださるSさんの、心の核といいますか、熱さ、仕事への真摯な姿勢が垣間見えた瞬間でした。

 

ブログを書いていていつも思うのですが、日本語って数えきれないほどの人々が毎日使っていて、どんなに言葉を並べても凡庸で、擦り切れるほど使われた表現しかできないなと。

それでも琴線に触れる言葉がある、というのは多分、その言葉を発した人の気持ちも一緒に届いているからではないだろうか、と。

私の言葉は何を載せて相手に届いているのだろう。時々考えることがあります。

 

そしてこのブログがSさんに見つからないことを切に願っております。(書いてしまい、すみませんでした・・・!)